シンポジウム「『内なる国際化』を考えるII」が、2016年10月22日(土)に白金キャンパスにて開催されました。今回のシンポジウムのテーマは「外国につながる子どもたちの教育について」であり、外国につながる子どもたちの教育に携わる3名の講師の方々にご講演いただき、フロアを交えて全体討論を行いました。
第1報告は、慶應義塾大学特任講師の徳永智子先生であり、「グローバル社会を生きる移民の子どものエンパワメント:アメリカのNPOの取り組みから」というタイトルでご講演いただきました。私たちは、子どもたちが抱えているさまざまな問題状況に目を向けがちです。しかしながら、むしろ子どもたちが持っている力や強さに着目しそれを引き出す社会を目指すべきではないか、という重要なご指摘をいただきました。
第2報告は、愛知教育大学准教授の上田崇仁先生であり、「『手を洗ったら、女の子からタオルを取りに行ってね』が示した問題」というタイトルでお話しいただきました。指示を出した先生は、順番を示す「から」として「女の子から」という指示を出しました。ところが「女の子から」という指示は、起点を示す「から」と解釈することも可能であるため、トラブルが生じたのです。教育に携わる者は、自らが用いている言葉を常に吟味することが必要である。大切な教えをいただきました。
第3報告は、NPO法人青少年自立援助センター定住外国人子弟支援事業部統括コーディネーターの田中宝紀さんであり、「外国につながる子どもたちを支える−多様性が豊かさとなる未来を目指して−」というタイトルでご報告いただきました。YSCグローバル・スクールの取り組みをご紹介いただくとともに、SNSを通じて情報発信することの大切さについてご指摘いただきました。
報告から質疑応答まで4時間にわたる長いシンポジウムでしたが、学内外から多くのみなさまにご参加いただき、最後まで熱心に耳を傾けていただきました。
(文責:浅川達人・社会学部教員)